品質管理・品質保証の残業は月12.8〜20.1時間で、正社員87職種の平均の月20.6時間を下回ります。品質管理・品質保証のなかで残業がいちばん長いモノづくり系でも、平均とほぼ同じです。ただし、業界や担当する工程、会社の体制によって差があり、求人に書かれた残業の数字も、読み方で意味が変わります。
いまの残業が多すぎるかどうかは、次の3つで判断できます。
- 月の残業時間
- 忙しいのが特定の時期だけか、時期に関係なく続くか
- 業界・工程・会社の人員と体制
本記事では、自分の残業が普通の範囲かを判断する目安と、転職先を比べるときに求人の数字から読み取れること、面接で確かめるべきことを解説します。
品質管理の残業時間は月どれくらいか
品質管理・品質保証の残業は月12.8〜20.1時間で、正社員87職種の平均の月20.6時間を下回ります。自分の残業がこの水準のどこにあるかで、普通かどうかと、転職で何を確かめるべきかが決まります。
比べるときの物差しは2つ
1つ目は、dodaが2025年に行った、20〜59歳の正社員15,000件の調査です。調べた87職種の平均は月20.6時間で、品質管理・品質保証はいずれも平均以下でした。この調査は分野ごとの平均なので、個々の会社の差は表れません。
分野 | 月の平均残業時間 |
|---|---|
87職種の平均 | 20.6時間 |
品質管理・品質保証(モノづくり系) | 20.1時間 |
品質管理・品質保証(素材・化学・食品系) | 16.1時間 |
品質管理・品質保証(医療系) | 12.8時間 |
2つ目は、労働基準法の上限です。労使で結ぶ36協定があっても、残業は原則として月45時間、年360時間までです。繁忙期など特別な事情がある場合に限り、特別条項付きの協定で上限を超えられます。その場合も、年720時間以内、単月は休日労働を含めて100時間未満、2か月から6か月の平均は80時間以内と決まっています。月45時間を超えられるのは、年6か月までです。
自分の残業を当てはめる
次の3つのうち、自分の月の残業に当てはまるものを確かめましょう。
- 月20時間未満
- 月20〜45時間
- 月45時間を超える月がある
月20時間未満は、87職種の平均以下で、品質管理・品質保証としても普通の範囲です。
月20〜45時間は、87職種の平均と同程度か、それより多めですが、法律の原則の範囲内です。特定の時期だけなのか、時期に関係なく続くのかを先に見分けましょう。
月45時間を超える月がある場合は、その月が原則の上限を超えています。年に何回あるかと、特別条項の内容を確かめましょう。恒常的に超えるなら、その職場の体制を見直す理由になります。
月平均が低くても、特定の月に集中する職場もあります。そのため、年間の平均だけでなく、いちばん多い月の残業時間もあわせて見てください。転職先を比べるときも、この3区分で並べると差がつかみやすくなります。
出典:doda「残業時間の平均はどれくらい?残業が少ない・多い仕事は?」
出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」
品質管理で残業が増えるとき
品質管理の残業は、次の場面で増えます。
- 不良やクレームが出たとき(突発)
- 新製品の立ち上げ期や顧客監査の前(予定できる)
- 月末や四半期末に出荷検査が集中するとき(毎月の繁忙)
不良やクレームは突然起きるため、原因の調査や再発防止策の検討が通常業務に割り込み、残業や休日の対応になることがあります。新製品の立ち上げ期や顧客監査の前は、準備に追われる時期です。月末や四半期末は出荷検査が集中し、夜間まで続くこともあります。
このほか、人手が足りないときは、残業が時期に関係なく続きます。会社の体制の違いは、この後の「会社の人員と体制による違い」で解説します。
いまの残業に当てはめるときは、特定の時期だけか、時期に関係なく続くかが見方の分かれ目です。時期に関係なく続くなら、人手不足のように、人員や体制に原因がある可能性があります。転職先を比べるときは、面接で「直近で最も忙しかった時期と、その理由」を聞くと、その会社でどんなときに残業が増えるのかが分かりやすくなります。
品質管理の残業は業界・工程・会社で変わるか
変わりやすい傾向があります。同じ「品質管理」という職種名でも、業界は調査で残業の量の差が確かめられ、工程と会社は残業が増える時期と理由が変わります。
業界による違い
業界によって、残業の量が違います。表のモノづくり系と医療系を比べると、品質管理・品質保証の月間残業は20.1時間と12.8時間で、約7時間の差です。同じ分野でも会社によって差があります。
そのため、志望先を比べるときは、業界の名前だけでなく、忙しい時期と残業が出る理由まで見ると、志望先ごとの違いが分かります。
担当する工程による違い(受入・工程内・最終検査・品質保証)
担当する工程によって、残業が増える時期と理由が変わる傾向があります。
- 受入検査
- 工程内検査
- 最終検査
- 品質保証
受入検査は、部品や材料が届く日に仕事が集中しやすい工程です。納入が遅れたり、まとめて届いたりした週は、検査が終わるまで次の工程が止まるため、残業になりやすくなります。
工程内検査は、生産ラインに合わせて動くので、残業もラインの稼働時間次第です。
最終検査は、出荷の直前にあたり、出荷が集中する月末や四半期末には、検査が夜まで続くことがあります。
品質保証は、クレームや不具合の対応、顧客の監査の準備で、予定外に仕事が増えやすい工程です。仕事内容は、「品質保証の仕事内容とは?求人で変わる担当範囲と品質管理との違い」で解説しています。
そのため、応募先でどの工程を担当するのかは、面接で確かめてください。
会社の人員と体制による違い
同じ工程でも、会社の人員と体制によって、残業が変わる傾向があります。人手不足や残業を前提にした体制は、残業が増える理由です。人手不足を見分けるために、まず見るのは、検査や品質保証の担当が何人いるか、誰かが休んだときに代わりができる体制かどうかです。少人数の会社では、一人が受入検査から出荷の判定までを兼ねることがあり、欠員が出ると残業に響きやすくなります。次に、検査の自動化や検査機器が整っているかで、検査の手間が変わります。
体制を確かめるために、面接や職場見学で質問するのは、次の3つです。
- 担当者の人数
- 繁忙期に応援が入るか
- 欠員が出たときの分担
今の職場で残業が多い方は、この3つのうちどれが原因かを分けて考えると、転職先に求める条件が決まります。
品質管理の求人の残業・休日の読み方
求人の残業・休日の数字は、何を数えた値かで意味が変わります。数字の大きさだけでなく、どの範囲を、いつの分で、どう数えたかまで見ることが必要です。求人票全体の見方は、「求人票は「読む」では足りない|メーカー転職で失敗しない見方と5つの判断ポイント」で解説しています。この章では、月平均の残業時間、固定残業代・みなし残業、年間休日と就業時間を順に解説します。
「月平均〇時間」の読み方と確かめ方
「月平均〇時間」は、一定期間の残業時間を月数で割った平均値で、ある月の実態そのものではありません。平均が20時間でも、閑散期は10時間台で、繁忙期は40時間を超えることがあります。
そのため、まず確かめるのは、対象が会社全体か、品質管理の部署か、募集ポジションかという範囲です。次に確かめるのは、直近1年か前年度か、繁忙期を含むかという期間です。たとえば三菱電機の求人には「月平均20時間」、IHIの求人には「月30時間」と書かれていますが、どちらもいつの分かは書かれていません。
範囲や期間が書かれていなければ、面接で聞きます。「配属予定の部署の直近1年で、いちばん多い月は何時間でしたか」と尋ねると、平均だけでは見えない繁忙期の幅が分かりやすくなります。あわせて、残業代が全額支給されるかも確かめておくと安心です。企業ごとの比べ方は、「転職の企業選びで見るべき4項目|メーカー転職で後悔しない比較表と面接質問」で解説しています。
出典:GiveCareer「【香川/WEB面接可】<ポジティブアクション>低圧・高圧遮断器の品質管理業務」
出典:GiveCareer「【神奈川】 原子力プラント用機器・設備の品質管理」
固定残業代・みなし残業の読み方
固定残業代とは、毎月一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う仕組みです。求人では「月給25万円(固定残業代30時間分、5万円を含む)」のように書かれます。募集する企業には、次の3点を明示することが求められています。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代の時間数と金額
- 含まれる時間を超えた分は、追加で払うこと
この3点が読めない求人は、応募前に確認してから進めるのが安全です。
固定残業代に含まれる時間は、実際の残業が必ずその時間になることを意味しません。残業の原則上限は月45時間です。それを大きく超える時間数が固定残業代に書かれていれば、面接で理由を聞いてください。
出典:固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします(厚生労働省)
出典:時間外労働の上限規制(厚生労働省)
年間休日と就業時間の見方
年間休日は、休みの日数であると同時に、休日出勤の余地を読む手がかりになる数字です。1日の所定労働時間が8時間の会社では、年間休日はおよそ105日が下限です。労働基準法の週40時間の上限から計算した日数です。完全週休2日制で祝日も休みの会社は、年間120日前後になります。GiveCareerに掲載された品質管理の求人では、年間休日は120日以上が中心です(2026年10月1日時点)。
105日に近いなら、土曜出勤や休日出勤が前提の可能性があります。
休日の表記では、「週休2日制」と「完全週休2日制」は別のものです。週休2日制は、月に1回でも週2日休む週があれば名乗れます。
次に、就業時間は、始業から終業までの時間から休憩時間を引いて、1日の所定労働時間を出します。所定が8時間なら、8時間を超えた分が残業です。月の残業が同じ20時間でも、所定が7時間40分の会社と8時間の会社では、実際に働く時間が変わります。GiveCareerの品質管理の求人にも、所定労働時間が7時間40分の求人があります。
年間休日が少ない求人では、面接で休日出勤の有無と振替休日の運用を聞いてください。就業時間は、検査や試験の都合で始業・終業がずれる職場かどうかが確認点です。
出典:GiveCareer「【茨城】品質管理業務」
まとめ
品質管理・品質保証の残業は月12.8〜20.1時間で、正社員87職種の平均の月20.6時間を下回ります。自分の残業が普通の範囲か、転職先をどう選ぶかは、次の4つの手順で見極められます。
まず、自分の月の残業が「月20時間未満」「月20〜45時間」「45時間を超える月がある」のどれに当たるかを見ましょう。45時間を超えるかどうかは、月平均ではなく、いちばん多い月で見て、超える月が年に何回あるかも確かめます。
次に、残業が増える原因が、特定の時期だけのものか、時期に関係なく続くものかを分けます。特定の時期だけの原因は、不良やクレーム、新製品の立ち上げや顧客監査の前、月末や四半期末の出荷検査などです。時期に関係なく続くなら、人員や体制に原因がある可能性があります。
そのうえで、転職先の業界、担当する工程、人員と体制の違いを、面接で確かめます。「直近で最も忙しかった時期と、その理由」、担当者の人数、欠員が出たときの分担を聞きましょう。
最後に、求人の数字は、範囲と期間まで読みます。月平均では対象と期間、固定残業代では3つの明示事項、年間休日では105日に近いかどうか、就業時間では所定労働時間を見ます。
今の職場で毎月の残業が続き、転職を考えるなら、「品質管理からの転職は難しい?経験別の転職先と判断基準」も参考になります。

