製造業の年収は低い?平均・業種・規模・年代でわかる相場と、現実的に上げる方法

製造業の年収は低い?平均・業種・規模・年代でわかる相場と、現実的に上げる方法

2026/7/17 更新

製造業の年収について「平均500万円」「手当で稼ぐしかない」「上げるなら転職」と感じている人は多くいます。

年収を上げる前に、まずやるべきことが2つあります。自分の年収が相場のどこにあるか、そして今の年収が手当依存型と基本給型のどちらで積み上がっているかです。これを把握せずに動くと、届かないラインを追って疲れるか、手当で底上げされた年収に安心して将来のリスクを見落とすか、どちらかで失敗します。

本記事では、自分の年代・業種・雇用形態で見る年収相場、夜勤手当を外した「素の年収」の見方、残留・社内異動・転職を同じ軸で並べる判断基準を整理します。

この記事でわかること

自分の年代・業種・雇用形態で見た正しい年収相場

夜勤や残業を外した「素の年収」と将来のリスク

資格・昇進・転職の3ルートと残留・社内異動を同じ軸で比較する判断基準

製造業の平均年収と他業種比較の読み方

国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、全業種で477.5万円、製造業で567.6万円でした。

ただし、この数字には職種、年齢、雇用形態、企業規模の異なる人が含まれています。製造業で働く個人の適正年収を、そのまま示す数字ではありません。

製造業の平均給与567.6万円は、全業種平均の477.5万円を約90万円上回っています。ただし、電気・ガスや金融・保険など、製造業より平均給与が高い業種もあります。

製造業より高い業種

年収

製造業より低い業種

年収

電気・ガス

約832万円

卸売・小売

約410万円

金融・保険

約702万円

サービス業

約389万円

情報通信

約660万円

宿泊・飲食

約279万円

「製造業は安い」「製造業は高い」のどちらに感じるかは、比較対象で大きく変わります。

もう一つ見ておきたいのが中央値です。平均値は一部の高給ポジションに引き上げられ、実際の真ん中より高く出ます。平均年収は、一部の高年収層の影響を受けるため、自分の年収と単純に比較できるものではありません。

引用した公的統計では製造業の年収中央値が示されていないため、自分の年代、職種、地域、企業規模に近い求人を複数比較して確認しましょう。

出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

年代・学歴・雇用形態で変わる製造業の年収相場

製造業の年収相場は、年代・学歴・雇用形態の3つで動きます。結論は次の3点です。

  • 年代:50代前半がピーク
  • 学歴:大卒と高卒で約100万円差。ただし資格や昇進で埋められる
  • 雇用形態:短期は派遣・期間工が高く見えても、長期では正社員が逆転する

年代別の所定内給与(令和5年・賞与等除く月額)は、20代後半から30代に月額3〜4万円ペースで上がり、50代前半でピークに達します。

年代

所定内給与(月額)

年収換算の目安

20-24歳

約219,400円

約330〜360万円

25-29歳

約254,800円

約380〜420万円

30-34歳

約284,500円

約430〜470万円

35-39歳

約311,700円

約470〜510万円

40-44歳

約334,100円

約510〜550万円

45-49歳

約354,600円

約540〜580万円

50-54歳

約368,100円

約560〜600万円

同じ月給でも、賞与の支給額によって年収は変わります。年収を比べるときは、月給だけでなく、過去の賞与実績や支給条件も確認しましょう。

令和5年の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の賃金は、全産業・男女計で大学卒が月36万9,400円、高校卒が月28万1,900円です。(ただし、年齢、勤続年数、職種などが異なる人を含む平均値であり、製造業だけの年収差を示した数字ではありません。)

資格が昇進要件や資格手当の対象になる会社もありますが、収入への影響は会社によって異なります。資格を選ぶ前に、自社の就業規則や求人票で、評価や手当の対象になるかを確認しましょう。

雇用形態別では、短期と長期で評価が逆転します。

  • 正社員:基本給+賞与+退職金で長期総額が積み上がる
  • 派遣・期間工:満了金・入社祝金で短期総額は高く見える

長期的な収入を比べるときは、月給だけでなく、賞与、退職金、契約更新の条件、正社員登用制度などを確認する必要があります。どの雇用形態が有利かは、勤務先の制度や働く期間によって変わるのでこちらも併せて確認しましょう。

業種別・企業規模別で年収に差がつく構造

同じ製造業でも、業種の利益率と会社規模で年収に違いが出ます。

業種

所定内給与(月額)

年収換算の目安

医薬品製造業

約414,500円

約600〜700万円

化学・電気機器など

約330,000〜380,000円

約500〜600万円

自動車・機械など

約300,000〜340,000円

約450〜540万円

食料品製造業

約255,400円

約370〜400万円


業種差が生まれる大きな要因の一つが、利益率の違いです。たとえば医薬品と食料品では年額換算で200万円近い差がつきます。医薬品は製品あたりの利益率が高く給与原資が大きいのに対し、食料品は価格競争が激しく原資が抑えられるためです。

会社規模では、企業が完成品メーカーの1次下請けか、2次、あるいは3次下請けかどうかも年収を左右する要素になります。1次下請けと2次・3次下請けでは、仕入価格を決める力が下流ほど弱くなるために、同じ職種でも年収100〜150万円の差がつくことがあります。求人票では「どの完成品メーカーの何次下請けか」まで見ると、年収の幅を読むことができます。

企業規模そのものでも、大企業と中小企業で年収差は80〜100万円程度に開きます。要因は業績の安定度・退職金制度・固定手当の充実度の3点で、いずれも大企業のほうが整っている傾向にあります。

手当で稼ぐか、基本給で稼ぐか

製造業で年収を安定させたいなら、いま手当と基本給のどちらで稼いでいるかを見ます。手当には性質の違う2種類があります。

  • 変動手当(残業・深夜・交代・休日労働):体力や生産量に連動し、働き方が変わると消える
  • 固定手当(住宅・家族・地域・通勤):基本給に近い安定要素で、条件を満たす間は続く

変動手当には、体力の限界・景気変動・賞与や退職金への波及という3つのリスクがあります。労働基準法の割増があるため夜勤・残業の手当は短期では効きますが、20代に手当で稼げていても、日勤に移ると手当分がそのまま減り、年収が大きく下がることがあります。一方、大手メーカーの住宅手当は年数十万円規模で安定しているため、固定手当は別の軸で評価します。

対して基本給は、賞与や退職金、昇給額の算定に使われることが多い項目です。ただし、実際の算定方法は会社の規程によって異なります。基本給が月1万円上がり、賞与が基本給の4か月分として算定される会社なら、年間では月例給12万円と賞与4万円を合わせて16万円増える計算です。

だからこそ、自分の給与がどちらに依存しているかを給与明細で分解します。

  1. 基本給を抜き出す(賞与算定基礎欄の数字)
  2. 固定手当(住宅・家族・地域・通勤)を分けて足す
  3. 変動手当(残業・深夜・休日・交代)を分けて足す
  4. 月収全体に対する変動手当の比率を計算する

変動手当への依存度が高いほど、日勤転換や景気悪化で家計が揺れやすくなります。給与明細を基本給・固定手当・変動手当に分解し、変動手当を除いても生活が回るかを確認しておくと安全です。

出典:e-gov「労働基準法第37条」

製造業で年収を上げる3つのルート

製造業で年収を上げる手段は、資格取得・社内昇進・転職の3つです。

  • 資格取得:手当は月数千円程度で、年収アップ幅は限定的。本質は業務範囲の拡大・昇進要件のクリア・転職時の経験証明にある
  • 社内昇進:役職手当と基本給テーブルが上がる。ただしポスト数に上限があり、中小では頭打ちになりやすい
  • 転職:アップ幅が最大で、同職種でも年数十万〜100万円超のケースがある。年功や等級を離れ、市場価値で評価される

代表的な資格は次の4つです。

資格

取得の目安

活きる場面

危険物取扱者乙種第4類

独学2〜3か月

化学・石油・食品

衛生管理者

大卒等は1年以上、高卒は3年以上など

常時50人以上の事業場

QC検定2級

独学3〜6か月

品質管理

フォークリフト運転技能講習

通常4日程度(保有免許等により短縮)

工場・倉庫

昇進によるアップ幅は、現場リーダーで年20〜40万円、課長で年60〜100万円が目安です。ただし中小企業では課長クラスから上が詰まりやすく、ポストの空き次第という傾向があります。

3つのルートは同じ軸で並べると、選ぶ順序が見えます。

ルート

必要期間

年収アップ幅の目安

再現性

資格取得

2〜6か月

月数千〜2万円程度

高い

社内昇進

数年〜10年以上

年20〜100万円

ポスト依存

転職

3〜6か月

年数十〜200万円

条件と適性で差

3ルートは並行して進められるため、まずは資格で評価軸を補強し、昇進と転職を同時並走で見ていく順序が手堅いといえます。

出典:一般財団法人 消防試験研究センター

出典:e-gov「労働安全衛生法第12条」

残留・社内異動・転職の3択判断基準

年収に不満を感じたときの選択肢は、残留・社内異動・転職の3つです。まず押さえたいのは、社内異動は部署を変えるだけで基本給がすぐ上がるとは限らないことです。生産技術・品質保証・保全・設計開発など、次の昇格や転職で評価される経験を積む場として捉えるとよいでしょう。

残留が合理的なのは、次の4点が揃うときです。

  • 福利厚生・退職金が手厚く、転職で同等条件を確保しにくい
  • 昇給テーブルが見えていて、5年後に年収が100万円上がる見込みがある
  • 上司や部署の問題が、異動で解決できる
  • 今の業務で資格取得や経験の積み上げが進む余地がある

社内異動が最適なのは、次のようなケースです。

  • 生産技術・品質保証・設計開発など、日勤職種への異動枠が社内にある
  • 製造現場の経験を、改善提案や工程設計に転換できる
  • 部署変更で基本給テーブルが変わる仕組みがある
  • 1〜2年待つことを許容できる

転職を本格的に検討すべきサインは、次の4点です。

  • 5年間で基本給が数千円しか上がっていない
  • 属人化する単純作業に閉じている
  • 業種・規模・サプライチェーンの位置から、年収の天井が見えている
  • 同職種・同年代の市場相場より、自分の年収が100万円以上低い

メーカー特化の両面型エージェントは、現職に残る選択肢も含めて一緒に検討できる相談先です。「すぐ転職するかは決めていない」「まず自分の市場価値を知りたい」という段階でもご相談ください。

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求人票・面接で適正年収を見極めるポイント

厚生労働省の令和6年2月の職業別統計では、生産工程従事者の有効求人倍率は約1.7〜1.8倍で、同じ集計区分の全職業計を上回っています。ただし求人には低賃金・派遣・交替勤務前提・遠方のものも含まれるため、条件の良い求人を見極めることがその後の応募の質を左右します。

見極めの第一歩は、額面ではなく基本給で揃えることです。たとえば「月給30万円」の内訳が、基本給21万円+固定残業代9万円(45時間分)となっている求人では、月給総額だけでなく、それぞれを分けて確認します。

賞与・退職金が基本給をもとに算定される会社も多いため、年収を比べるときは固定残業代を分けて確認します。

項目

例(月額)

チェックポイント

基本給

21万円

賞与・退職金の算定基礎になるか確認

固定残業代(45時間分)

9万円

45時間超過分は別途支給か確認

月給合計

30万円

固定残業を除いた基本給で家計が回るか

面接で現在の年収について聞かれたら、「年収を上げたい」ではなく、「利益率の高いポジションで長期にキャリアを積みたい」のように中身に踏み込むと評価されます。現職批判は避け、未来志向で伝えます。

内定後・入社前には、求人票に出てこない次の4項目を確認します。

  • 賞与実績の過去3年の推移(金額と支給月数)
  • 昇給テーブル(毎年の昇給額の標準モデル)
  • 住宅補助・家族手当の支給条件と金額
  • 退職金制度の計算方式

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年2月分)」

製造業の年収に関するよくある質問

高卒でも年収500万は目指せるか

大手子会社の3交替勤務で資格手当・夜勤手当を積めば、高卒・20代後半で年収450〜500万円に届くケースがあります。30代以降は、現場リーダーへの昗格や、資格を活かせる業務への異動・転職によって、年収500万円台を目指すルートがあります。

夜勤なしで年収を上げられるか

日勤専任で年収を上げるなら、生産技術・品質保証・設計開発・社内システム部門などの職種に移るのが現実的です。製造現場の経験は改善提案や工程設計の評価軸で活きるため、夜勤手当に頼らない年収カーブを描けます。

製造業で年収を上げるための次の一歩

製造業の年収は、業種・規模・雇用形態・手当構造で大きく変わります。やるべきことは3つです。

  • 平均値ではなく、自分の年代・業種・雇用形態でそろえた相場で位置を測る
  • 給与明細を分解して変動手当への依存率を把握し、基本給と固定手当で生活が回るか確認する
  • 残留・社内異動・転職を同じ軸で並べて選ぶ

まずは現職での給与明細を基本給・固定手当・変動手当に分解し、次に自分の相場を厚労省データで確認した後、さらに3ルートの比較表を作る——この順で進めると現実的です。

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