電気主任技術者の年収は、免状の種類だけでは決まりません。選任の有無、設備、実務経験、業界、勤務形態、役職によって大きく変わります。「電験三種なら年収○万円」と一つの相場で判断すると、求人ごとの責任範囲や働き方を見落とします。
この記事では、公的統計で分かる範囲と限界、年収を左右する条件、収入を上げるルート、現職に残るか転職するかの判断基準を整理します。
この記事でわかること |
|---|
電気主任技術者の年収相場と公的統計の正しい見方 |
年収を左右する資格・実務経験・勤務条件 |
年収を上げる方法と転職・現職残留の判断基準 |
電気主任技術者の年収を公的統計で確認する
厚生労働省のjob tagでは、関連する「電気技術者」の全国年収は、令和7年賃金構造基本統計調査を基に703.9万円です。ハローワーク求人統計では、令和8年3月の求人賃金は月32.3万円でした。
ただし、これらは電気主任技術者だけの数字ではありません。電気・電子分野の開発技術者などを含む職業分類の集計で、電験一種・二種・三種別でも、選任・非選任別でもありません。703.9万円を「電験三種の平均年収」と読むことはできず、求人賃金の月額も賞与や手当を含む想定年収とは異なります。
job tagでは、電験の種別や選任の有無ごとの年収は示されていません。そのため、自分の経験や希望条件に合う求人を比較して、年収相場を確認します。
比較する項目 | 確認内容 |
|---|---|
基本給・等級 | 入社時の等級、昇格条件 |
賞与 | 算定基礎、直近実績、業績連動 |
選任・資格手当 | 金額、選任開始時期、対象資格 |
勤務手当 | 夜勤、待機、出張、赴任 |
残業代 | 固定残業の時間、実残業、管理監督者扱い |
退職金・住宅 | 長期の総報酬に影響する制度 |
年収を左右するのは資格・実務・職場の組み合わせ
年収差を生む主な条件は次のとおりです。
年収を左右する条件 | 年収に影響する理由 | 求人で確認したいこと |
|---|---|---|
免状区分 | 担当できる設備や応募先の範囲が変わるため | 対象設備、資格手当、免状が必須か歓迎か |
選任経験 | 保安規程や点検計画など、責任のある業務を担えるため | 任のある業務を担えるため 選任範囲、権限、代理者や支援体制 |
設備経験 | 設備の規模や複雑さ、停止時の影響によって責任が変わるため | 電圧、設備の種類、担当範囲、停止時の影響 |
改修・更新試験 | 予算や工事、停止計画まで担えると役割が広がるため | 保守だけか、更新計画や工事管理まで担当するか |
管理経験 | 人員、委託先、予算の管理が役職や処遇に反映されやすいため | 担当人数、予算、役職、実際の権限役職と実際の権限が一致するか |
勤務条件 | 夜勤、待機、転勤などが手当や提示年収に影響するため | 夜間の呼び出し頻度、交替勤務、勤務地、各種手当 |
資格手当だけで比較すると、選任責任や夜間対応を見落とします。年収が高い求人では、設備停止の影響、交代勤務、広い担当範囲、管理職責任が含まれる場合があります。金額と同時に、担当設備、人数、呼び出し、裁量を確認してください。
地域差も一律ではありません。地方の工場や発電設備で赴任・住宅手当が付く求人もあれば、都市部の大規模施設で専門性を評価する求人もあります。手取り額と生活費のバランスだけでなく、希望する実務経験を積めるかで判断しましょう。
年収を上げる4つのルート
収入を上げるには、資格を取るだけでなく、企業から任される仕事の範囲を広げることが重要です。
選任・設備更新の実務を積む
点検だけでなく、保安規程、年次計画、設備更新、官庁・電力会社・工事会社との調整まで経験すると、担当できる範囲が広がります。
職務経歴書には、設備、電圧、役割、担当人数、改善結果を記載します。
上位免状と大規模設備の経験を組み合わせる
上位免状は担当可能な設備範囲を広げます。ただし、認定取得には学歴・保有資格・実務内容・期間などの要件があります。「一定年数働けば自動的に取得できる」ものではないため、所管の産業保安監督部へ事前相談し、会社が経験証明に協力するか確認してください。
安定稼働が重視される設備や、設備投資が活発な業界へ移る
データセンター、半導体工場、エネルギー設備などは、停止回避や設備投資を重視する求人があります。電気に加え、機械、制御、施工管理、英語、IT、エネルギー管理などを組み合わせると応募範囲が広がります。業界名だけで高年収と決めず、求人の役割と条件で確認してください。
マネジメントまたは独立へ進む
予算、人員、委託先、工事を束ねる管理職は、点検担当より責任範囲が広がります。
独立して保安管理業務の外部委託を受ける道もありますが、実務経歴、承認要件、機材、移動、営業、事故対応が必要です。会社員の年収と事業の売上を同じ数字で比べないでください。
電験三種で年収1,000万円は可能か
電験三種のみを条件とした場合、平均年収の相場として年収1,000万円は一般的とは言えません。到達する求人や働き方が存在するとしても、管理職、施工・更新プロジェクト、複数分野の専門性、外資系の報酬体系、独立事業など、資格以外の条件を伴う可能性があります。
まず、希望額を基本給・賞与・手当・残業に分け、実現に必要な役割を求人から逆算してください。独立の場合は契約額がそのまま所得にならず、経費、保険、税、未稼働期間も差し引いて考えます。
経済産業省の資料は、2030年度に第三種電気主任技術者が約800人不足する可能性を示しています。ただし仮定に基づく需給推計であり、全ての有資格者の年収上昇を保証するものではありません。
今の経験がどの求人で評価されるか整理したい方は、ギブクリエーションの転職支援サービスで相談できます。
出典:経済産業省「電気主任技術者制度について」
現職に残るか転職するかの判断基準
「3年以内に上位免状」「昇給率3%」のような一律基準ではなく、次の項目を並べます。
現職に残る判断基準 | 転職を検討する判断基準 |
|---|---|
認定に必要な実務を積める | 必要な設備・業務を担当できない |
会社が経験証明に協力する | 証明方針が不明・非協力的 |
設備更新や役割拡大の予定がある | 点検業務だけで役割が広がらない |
給与・等級の基準が明確 | 責任だけ増え、処遇の説明がない |
代理者・教育・相談体制がある | 単独選任で支援がない |
残る場合は、担当範囲、等級、手当、次の役割を上司と確認します。
転職する場合は、現職で得られる実務経験を失う影響と、応募先で得られる経験を比べてください。希望年収の最低額、夜勤・転勤の可否、選任責任も事前に決めます。
まとめ
電気主任技術者の年収は、電験三種・二種・一種という区分だけでなく、選任、設備、実務、業界、勤務、管理責任で決まります。公的統計の703.9万円は関連職種全体の値で、電験三種の平均ではないため注意しましょう。
高い年収を目指すなら、設備更新、選任、上位免状、成長投資分野、マネジメントなど、応募先で価値になる経験を増やします。
ギブクリエーションの転職支援サービスでは、求人条件とキャリアの比較を相談できます。
よくある質問
電験三種の平均年収はいくらですか?
資格だけに限定した公的な平均年収は確認できません。job tagの703.9万円は関連する電気技術者全体の金額のため、自分が応募できる求人を同じ地域・設備・役割で比較しましょう。
未経験・電験三種の初年度年収はいくらですか?
一律の相場は決まっておらず、研修期間、非選任か選任候補か、交代勤務、業界、地域で変わります。基本給、賞与、手当、初年度の担当を確認しましょう。
認定で上位免状を取るメリットは?
担当可能な設備範囲が広がり、応募先の選択肢が増える可能性がありますが、要件と経験証明が必要です。転職前に所管官庁と会社へ確認しましょう。

